毒婦、修羅の過去

毒婦の過去。

アレ……?

もう、完全に将来を誓い合った夫とは連絡を絶った。

 

そして向こうからも連絡がなくなった。

 

 

私は一回り上の彼氏とよりを戻し、また優雅な独身ライフを楽しんでいた。

 

そしてしばらくして、体調が思わしくない日が続いた。

当時「ノロウイルス」なるものが猛威を振るっており、たびたび起こる吐き気を「今流行りのノロウイルスだな」と思い込んでいた。

 

と、同時にこの頃私は子宮頚がんの手術をしていた。

その術後ともあり、具合が思わしくないのか、それで生理まで来ないと完全に勝手な判断をしていた。

 

その子宮頚がんの術後検診に病院に行き。

内診台がウィーンパッカーンする間に、先生にこう言った。

「先生、生理が来ないんですけど」

 

「妊娠してんちゃう?」

 

「んなまっさかーwwww」

 

「え?あれ?いや、ほんまに妊娠してるよ?」

 

「またご冗談を〜www」なんてヘラヘラ笑っていた。

 

先生がカーテン越しに言ったのを鮮明に覚えている。

 

「産むなら超音波見せるけど。産まないなら見せない。ちなみに父親は?」

 

 

頭が真っ白になった。

 

 

「最終生理は?」

「身に覚えは?」

 

と先生は淡々と聞いてくるが頭は真っ白なまま。

 

先生は、私のお腹の中の赤ちゃんのサイズを測り、予想週数を口にした。

そして、妊娠したであろう時期を口にした。

 

一回り上の彼ではない。

しかも一回り上の彼は必ずコンドームを使用する人だった。

 

 

私はその時先生に言った。

 

「お腹の赤ちゃん、見せてください」

 

超音波の画面を見た。

そこには小さな人間の形をした映像がピョンピョン動いていた。

 

これが私のお腹の中に!?

 

頭は大パニック、真っ白だったが。

私はその時、中絶しようとは思わなかった。

 

そして先生に言われた。

「しっかり話し合って来なさい。」