毒婦、修羅の過去

毒婦の過去。

調停当日。

私は心身ともに疲れ切っていた。

 

ただ、娘が不憫で不憫でならなくて。

情けなくて情けなくて泣いた。

 

 

毎晩遅くまで知恵袋を漁り。

それらしきアカウントを見つけては死にたくなるほどの見たくもない話を目にし。

 

ようやく迎えた調停の日の朝。

 

夫から電話がかかってきた。

 

「今日の調停は行かなくていい。

 

俺1人で調停行ってくる。」

 

 

そんな馬鹿な話があるか?

 

もう一度だけ聞く、離婚届を勝手に提出したのか?

 

それでも夫は「そんな事はしていない」と言った。

 

 

それなら、私が調停に行ってもなんら問題ないでしょう?

無断で調停を欠席すれば相手の言いなり。

 

バカも休み休み言いやがれ、と私は家庭裁判所に向かった。

 

 

家庭裁判所という場所はなんとも重苦しい場所であった。

 

受付を済ませ、待合室を案内され。

私は1人、用意されていた椅子に座った。

 

申立人とは顔を合わせないで済むような設計がされており。

すれ違うこともないように配慮がされている。

 

同じ建物の中に、先妻、夫、私。

 

耐えられなかった。

 

1時間が過ぎても呼ばれなかった。

もうすぐ2時間が経とうか、という時にようやく私は呼ばれた。

 

案内された部屋の中には、机があり。

向かいには調停委員という人が男女それぞれ1名づつ座っていた。

 

 

とてつもなく重苦しい空気の中、話は始まった。

 

調停委員はそれぞれ自己紹介をした。

名前なんて覚えてない。

 

私に2,3質問してきた。

自己紹介を施すようなどうでもいい内容だ。

本人確認みたいなもんだろう。

 

そこで調停委員の女性が、一度椅子から軽く腰を上げて座り直し。

姿勢を正して、一息ついてこう言った。

 

 

今回の調停について、手紙が届いた時は驚いたでしょう?

 

はい、驚きました。

 

 

最初に申立人から提出された申立書から、追加でいろいろと書類を提出してもらった結果、ひとまずあなたがした事ではない、申立書の内容とは全く違う事実が明らかになっています。

 

ですから、あなたは悪くない、まずそれをお伝えしますね。

 

 

は、はい…。

 

 

ご主人からこの件について説明は?

 

 

ありません。

 

 

え?ないの?

離婚届を勝手に、あなたのご主人が提出した事は?

 

 

聞いて…いません…。

やはり、夫が…していたんですね…。

 

 

ちょっと待って、あなた、まだ何も知らないの?

 

 

は、はぁ……

 

 

窓から見える高速道路を走る車を見ながら。

 

私は聞かれるがまま答えた。

 

 

そのまま死んでしまいたかった。

 

だけど、これが終わったら。

保育園で娘が待っている。

 

娘の笑う顔だけを思い浮かべながら。

そこに座る事に必死に耐えた。

 

 

 

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