毒婦、修羅の過去

毒婦の過去。

結婚指輪

正直申す。

 

恵美ちゃんの意中の男はちんちくりんで何がいいのかもさっぱりわからないほどの豆タンクだった。

 

それが私の視力と判断能力を失わせたか。

 

一緒にいた男は、「なんか気になる」

言うならば、昭和のビビビだ。

 

あぁ思い出したら吐きそうになってきた…。

 

 

隣に座った将来の夫の左手薬指には指輪があった。

 

「なんや結婚してんのかいな」

 

「いや…あぁこれな…」

 

「仲ええねんな」

 

「いや…今、離婚の話で揉めてんねん…」

 

ハイハイ、ハイハイ、テンプレ通り。

 

店に客として引っ張ればいいかに決定。

連絡先の交換をし、その日は2時間ほどバーで微妙に盛り上がり帰宅。

 

どうでもいい話だが、この日を境に恵美ちゃんは玉砕けした。

 

恵美ちゃんのための夜が、まさか毒婦と夫との馴れ初めの日になるとは…。

 

吐きそう。