毒婦、修羅の過去

毒婦の過去。

夫との話し合い。

調停の間、間に何度も夫とは話し合った。

 

毎回私が怒鳴り散らして、死ね!

 

と言って閉幕する、なんら進展をもたらさないただの夫に罵声を浴びせる友の会、みたいになっていました。

 

 

夫はただ、罵声を浴びせられても

「すまんかった」

「やり直して欲しい」

「これからはちゃんと仕事もして

 生活費もきちんと入れる、約束する」

 

これを繰り返した。

 

 

 

一番見ていてやり切れなかったのは娘だ。

 

殆ど記憶などないはずであろう父親に、愛想をふりまき「とーちゃん抱っこ!」と抱っこを要求し。

 

ケンカはやめて〜2人を止めて〜

 

と言わんばかりに、2人の話し合いの時、娘はいつも夫の膝の上に座りたがった。

 

「とーちゃんのおひげぇー」

「とーちゃんのおみみぃー」

 

娘は突然現れた「とーちゃん」を笑顔で迎えた。

 

血は争えないとはよく言ったものだ…。

 

 

話し合いが終わり、夫が玄関に向かうと

「とーちゃんどこ行くの?」と寂しそうに言う。

 

 

もう、なにをどうしたらいいのか。

 

自分はここで、何を選択したらいいのか。

 

もう、わからなくなっていた。

 

 

もう、私が決める事もない。

 

私には、慰謝料すら払わないという事も許されない。

そうしなければ、地獄の調停も終わらない。

 

私には選ぶ権利もない。

 

もう、みんなで、勝手に決めてくれていいよ。

もう疲れたよ。

 

かーちゃんは、もう。

何もかもに疲れたよ。

 

みんな、勝手にしてくれ。

どうにでもしてくれ。

 

そして、最後に決まった事を。

私がすれば、それでいいんでしょう?

 

 

もう、何もかもどうでもよくなった。

 

ただ、私のそばに娘さえいてくれたらそれでいい。

 

泣いてばかりの私に、いつもタオルを持ってきてくれた娘。

 

かーちゃん、もう泣かないで。

もう、泣かないの!

メンメよ。

 

私は、その日から泣く事をやめた。

 

 

そして、思った。

 

 

私が我慢すれば、全ては丸くおさまるのだ、と。